本邦初の女性フライフィッシャーによる釣りエッセイ集。力の抜けたちょっぴりシュールなイラストと共に、女性にとっての釣りの楽しみを、細やかに、軽やかに、鮮やかな筆致で、余すところなく伝えます。
「釣り」は長い間、男性の趣味とされてきました。しかしながらようやく、ここに「フライフィッシングは力を必要としないこと、繊細なフライを巻くこと、美しい自然と魚に触れ合えることなど、女性にこそ向いている」と主張する、アウトドア新時代の女性が現れたのです。「フライフィッシングに興味はあるけど何となく(かなり)敷居が高い」と感じていた女性は、本書を読めば「フライフィッシングって、こんなに楽しいものだったんだ! 」と驚くに違いありません。
「よく、男性は狩猟本能が備わっているから釣りが好きなのだとか言われているが、私が考えるに、女は女の釣りの楽しみ方を自分で身に着けなければ続かないのだと思う。釣果至上主義の体育会系のノリには、女性は付いていきたいと思わないのだ」——本文「アングラーズ・アイドル」より。
女性が感じる釣りの面白さとは、一体どういう種類のものなのか。女性の釣り人の目に、男性の釣り人はどう映っているのか。本書にはこれまで女性の口から漏れてこなかった、そんな秘密のささやき、呟き、叫びがあふれています。本邦初のこの貴重な機会を逃さず、フライフィッシングに興味を持つ女性だけでなく、男性釣り師も、女性釣り師の生の声を是非聞いてみてください(特に男性釣り師には『アングラーズ・アイドル』と『アダムスとイブ』を読んでいただきたい! )。
火星でフライフィッシングをするつもり?
今や男性だけのスポーツは珍しくなりました。サッカー、野球、登山、スキーなどが、男女を問わないスポーツとして広まったその最大の理由は「楽しいから」です。スポーツは単純に楽しい。そこに男女の違いはありません。フライフィッシングはキャッチ&リリースによって、狩猟からアウトドア・スポーツへと変化した遊びですが、渓流というフィールド、手順や道具立て、そして技術が複雑に見えるために、女性から敬遠されてきましたが、それは男性の釣り人が男性流の価値観を女性に押しつけてきたからに他なりません。しかし世界の流れは変わってきています。フライフィッシングのメッカ、米国のイエローストーン国立公園ではソロの女性フライフィッシャー、女性グループは当たり前、さらには女性のフィッシングガイドも珍しくありません。日本でもキャンプブームでアウトドアに飛び出す女性が増えています。フライフィッシングはアウトドアを楽しむためには、うってつけの遊びです。アウトドアの魅力に気づき始めた日本の女性に、是非読んで欲しい1冊です。